厳しい夏の暑さが和らぎ、夜風に涼しさを感じるようになると、食卓の主役は少しずつ秋の装いへと変わっていきます。秋は「実りの季節」。きのこ、栗、秋刀魚、さつまいも……大地のエネルギーをたっぷりと蓄えた食材たちが並ぶようになると、キリッと冷やした白ワインから、常温でしっとりと楽しむ赤ワインへと自然と手が伸びるものです。
今回は、秋の味覚それぞれに寄り添う、素晴らしい赤ワインのペアリングをご提案します。
◆ きのこ料理 × ピノ・ノワール 秋の味覚の代表格といえば、様々な種類のきのこ。ソテーにしたり、リゾットにしたり、芳醇な土の香りが魅力です。 これに合わせたいのは、フランス・ブルゴーニュ地方に代表される「ピノ・ノワール」。ピノ・ノワールは熟成が進むと「腐葉土」や「トリュフ」「濡れた落ち葉」といった、森の奥深くを思わせる複雑な香りを放ちます。きのこの持つアーシー(土っぽい)な風味と、ワインの香りが同調し、まるで秋の森を散策しているかのようなマリアージュを生み出します。
◆ 脂の乗った秋刀魚(さんま)の塩焼き × キャンティ・クラシコ 「魚には白ワイン」という固定観念は、秋刀魚の前では一旦忘れてください。内臓のほろ苦さと、焦げた醤油の香ばしさには、実は軽やかな赤ワインがよく合います。 おすすめはイタリアのトスカーナ地方で造られる「キャンティ・クラシコ(サンジョヴェーゼ種)」。ほどよい酸味とチェリーのような果実味が、秋刀魚の脂のしつこさを洗い流し、醤油の風味とも不思議なほど調和します。ワインは少しだけ冷やして(14度〜16度)飲むのがポイントです。
◆ さつまいもや栗のロースト × ジンファンデル 甘味のあるホクホクとした食材には、果実味が豊かでアルコール度数も高めな、アメリカ・カリフォルニア産の「ジンファンデル」がいかがでしょう。 ジャムのように煮詰まったベリーの甘い香りと、シナモンやクローブなどのスパイスのニュアンスが、さつまいもや栗の甘みを優しく包み込みます。食後のリラックスタイムに、そのままデザート感覚で楽しむのも一興です。
食材の色とワインの色を合わせるように、秋は少し深みのある赤色を食卓に取り入れてみてください。美味しい料理とワインが、夜長をより豊かに彩ってくれることでしょう。